最近、無料で公開されている(5月29日まで)、桜井のりお先生の作品を何度も何度も読み返している。(先日電車で『ロロッロ』を読んでいたら、横に座っていた人が別の席に移動してしまったのだが、あれは?)
まあ、一旦けじめということで(?)適当なメモ書き。
みつどもえ
全19巻。3巻まで無料。
1〜3巻適当な感想
ずっと昔読んだときなにが面白いのか全くわからず、以来読んでなかったが、無料公開に合わせて読み直したら、アホほど面白い。昔の自分の感性を疑う。
(1巻の最初の方は絵やら話やらが粗いが)基本的に主人公の三つ子をはじめ、キャラクターは可愛いし、話もカオスかつ下品でありながらオチまで綺麗でよい。(ちなみに上品な作品なので、パンチラは一才描かれない。桜井のりお作品通底して、ほんとに。)
もちろん「six69nine」の帽子をかぶった千葉くんが好き。
3巻までで好きな話:3巻42卵生「本域変態ガチレンジャー」
タイトルから終わってる(ちなみに「〜卵生」=「第〜話」)
三女・ひとはが主人公の話であり、同時にアニメにもなった作中作『本気戦隊ガチレンジャー』が初出の回でもある。
最初から三女がカワイイが、この話は特に『ガチレンジャー』にハマった三女と「ガチレンジャーオタク」の矢部先生のやりとりが魅力的な話。
三女が、「ガチレンジャー鑑賞」について熱く語る先生を、誤って「少女のパンチラ鑑賞」について熱く語る先生だと思い込み、「先生は一刻も早く死ぬべきです‼︎」とガチギレするシーンは激アツ(「ガチの怒りを受け止めろ!」)。
そして最後、三女が自身の誤解に気づくも、もはや引き返すことができず、大好きなガチレンジャーを「変態が観るもの」と泣きながら罵り、駆けていくシーンはなかなかエモい。
古代ギリシアの喜劇作家は「最高の喜劇は最悪の悲劇である」と言った(というのは私の妄想だ)が、まあその典型例。「矢部先生小4チンポ事件」(2卵生)以来『みつどもえ』3巻までで最大の悲劇であり、最高に笑える話の一つである。
ロロッロ
全7巻。2巻まで無料。
2巻までの適当な感想
少なくとも初期の『みつどもえ』よりも、絵はスッキリして綺麗で、さらに話もドタバタのカオス度が減っているので、ある意味では読みやすい。
一方でキャラクターの発言や行動に現れる性癖が、みつどもえどころではない(痴女がたくさん出てくる)ので、ある意味で非常に読みにくい、かも。
まあまあの数のキャラクターをすごい丁寧に設定して、それがうまく機能しているところとかは『僕ヤバ』に繋がっているのかな?キャラクター数の割に、キャラクターに全く無駄を感じない。(『みつどもえ』でもそんな感じはあるけど。)
(けど『僕ヤバ』にハマった人が、『ロロッロ』にハマるかはよくわからない。後者の方がヤバイやつなんで。)
もちろんすぐ脱ぐ高嶺マリエンヌが好き。
2巻までで好きな話:ver. 31.0「隠蔽!恐怖の三者面談」
みつどもえの父親といい、ロロッロの博士といい、僕ヤバの(あまり出てこないが)先生といい、桜井のりおが描く「おっさん」が好きなのだが、中でもロロッロの博士はその変態性と、うっかりさが推せる。(こんなおっさん描いてて、彼女はキモくならないのだろうか?どういう趣味の表れなんだろう?)
そんな博士の性格が大いに発揮されるのがこの話。
(なぜか)上裸でうんこ中の博士をホログラムで投影して三者面談をする、とかいう信じられない話。(女の)先生の横で気張る博士はなかなかに強烈でキモい。最後はフルチンで立ち上がり、女子生徒の瞳に宇宙が映る(エモー)。
実は1番意味がわからないのは、面談自体が淡々と普通に終わってしまうことだが。
しょうもない話なんてたくさんあるが、ここまでおっさんが下品なしょうもない作品なんてこれまでもこれからも出て来ないんじゃないか?(褒めてる)
僕の心のヤバイやつ
既刊8巻。4巻無料。これは全巻買ってしまった。
かんそー
青春胸キュンラブコメである。人物描写のシリアスさとか、下品さの抑え具合とか、ここまでの二作と比較すると「桜井のりお様式」からは相当逸脱しているような気もする。
あと、徹底して主人公・市川の一人称視点や語りを使ったり、しかもその語り手を「信頼できない語り手」として用いたり、伏線を多用したりと、技の多用もこの作品独自?
桜井のりお、癖が強めの作品が多かったけど、王道も行ける天才だった、と思わされる。(もはや僕ヤバが人気すぎて、どちらが彼女の本来の姿なのかはわからんが。)
とはいえ、ロロッロの箇所でも述べたように、キャラクターの「色付け」センスとか、彼女の凄さは引き続きある。(ほんとに特徴的なのこの辺なんじゃないか?知らんけど。)
もちろん性癖のるつぼ神崎くんが好き。
4巻までで好きな話:Karte. 55「僕は開示された」
やはり、姉貴が出る話はいい。
姉の調子こいた行動でなぜか市川家に連れ込まれた山田が、これまた姉に見せられた市川の卒業アルバムから、市川の過去を理解する話。いい話。
それだけじゃなく、姉の気の利いた言葉や行動から、弟・市川への愛を感じてエモい。(エモいという表現はすごい便利。)
素直に心を表現できない主人公・市川と、社会(主にヒロイン・山田)の間にあるのが「家族」で、そんな「間にある家族」としての役割を負わされているのが、ブラコンの市川の姉。(姉を媒介にして、山田は市川を理解し、市川は自分をうまく表現できるようになる。この話は山田が理解する話。)
この話でもそんな姉のキャラクターがよく出てていい。
ちなみに5巻以降もよければ、5巻最後の姉との「サシ飲み」の話を挙げるなぁ。
というか、だんだん市川が心開いてきたけど、こっからの姉の役割ってどうなるんやろうなぁ。
まとめ
読もう!というか僕ヤバ以外、無料以降読みたいんですが、お金ください。